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子牙永一サイト

PINGが送信された記事一覧 (全10件)
  • 『やわらかな破片』 9

    第9回 最後の夜 そしてついに、安藤から重いメッセージが届いた。 《もう限界だ。しばらく会えない》 膝から力が抜け、床に崩れ落ちた。言葉にならない声が喉の奥で震えた。私は自分の心が、彼にどれだけ依存し (...続く)

  • 『やわらかな破片』 最終回

    最終回 それでも 朝、私は夫に向き合った。「話があるの」 夫の手が止まる。私の声がこれまでと違うことを、すぐに悟ったのだろう。息を整え、私は言った。 「好きな人がいるの」 その瞬間、夫の顔から血の気が (...続く)

  • 『曖昧な画角』第1回ー視線ー

    それは、本当に些細なことだった。体育館のすみ、子どもたちがストレッチをしている間、彼は一人ひとりの姿勢を見て回っていた。無駄のない動きで、慣れている感じがした。息子の前で止まったとき、少しだけ膝をつい (...続く)

  • 『曖昧な画角』第2回ー距離ー

    次の教室の日、私は少しだけ早く来ていた。 理由は特にない。そう思っていた。 ただ、家にいても落ち着かなくて、早めに出ただけ。 体育館にはまだ人が少なくて、準備の音が響いていた。 ボールの転がる音と、床 (...続く)

  • 『曖昧な画角』第3回ー余韻ー

    それは、連絡アプリの通知から始まった。 いつもは教室からの一斉連絡しか来ないはずの画面に、個別のメッセージが表示されていた。 一瞬、見間違いかと思った。 「今日の動き、すごく良かったです」 送り主は、 (...続く)

  • 『曖昧な画角』第4回ー呼吸ー

    それは、いつの間にか当たり前になっていた。 彼とのやり取りは、最初は教室の日だけだったはずなのに、気づけばそうじゃなくなっていた。 「今日は雨ですね」 そんな、どうでもいい一言。 それが、朝に届く。 (...続く)

  • 『曖昧な画角』第5回ー理由ー

    「今度、少し時間ありますか」 そのメッセージは、夜に届いた。 いつもと同じやり取りの中に、少しだけ違う温度が混ざっていた。 画面を見たまま、少しだけ考える。 意味は、わかる。 ただの雑談じゃない。教室 (...続く)

  • 『曖昧な画角』第6回ー感触ー

    それから、会うことは一度きりでは終わらなかった。会う理由は、もう必要なくなっていた。「この前、楽しかったですね」彼からのメッセージは、あまりにも自然に「次」を含んでいた。「また少しだけ」そう続く言葉に (...続く)

  • 『曖昧な画角』第7回ー温度ー

    次に会ったとき、その“続き”は思っていたより簡単に訪れた。店を出たあと、少しだけ歩く。「寒いですね」そう言いながら、彼がふと近づく。次の瞬間、軽く手が触れた。今度は、はっきりと。避けることもできたはず (...続く)

  • 『曖昧な画角』第8回ー境界ー

    それからは、言葉よりも先に体が反応することが増えた。彼からのメッセージを見るだけで、少しだけ呼吸が変わる。「今日、会えますか」その一文に、迷いはもうほとんどなかった。「少しだけなら」その言葉の意味が、 (...続く)