「愛知県東海市介護事故」についての「愛知県健康福祉部高齢福祉課」からの回答


   
 拝啓 ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
 さて、9月29日にあなたからお寄せいただきました「県政へのご提言」につきましては、次のとおり考えております。
 なお、今後とも、よりよい県政を築くために、県政へのご協力をお願い申し上げます。 
                                   
敬 具


  平成23年10月14日


   ご 提 言 者 様

                               愛知県健康福祉部高齢福祉課長


                                                                                  



提言内容から、当該介護サービスの種類を訪問介護事業として説明等しますので、サービスの種類が違う場合は、引用している条文が異なる場合がありますので、ご了承ください。

1 事業者からの事故報告について
 

 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第37条で、利用者が安心して指定訪問介護の提供を受けられるよう事故発生時の速やかな対応として、「指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じなければならない。」とされており、今回のケースについては、事故報告の市町村への提出は為されていると考えられます。必要な措置を講じたか否かについては確認できませんが、運営基準の第23条で、サービスの提供方法等については、利用者やその家族に対して理解しやすいように説明を行うと定められており、ご提言内容からこの点においては不十分であったことが推察されます。
 

 また、県としては、事故報告様式及び報告要件の概要を、平成14年3月16日付けで市町村長あて通知しておりますが、重要な通知でありますので、当該通知の写を毎年開催しております介護保険指定事業者講習会により関係事業者及び市町村へ示しているところであります。



2 市町村の対応について
 


 事業者から提出のありました事故報告については、平成14年3月16日付けの市町村長あて通知の中で、「報告を受けた市町村の対応」として周知しております。(平成14年3月16日付けの市町村長あて通知を添付しますので、参照してください。)
 

 市町村長からの報告義務については、法令上等の義務は提言者様の言われるように規定がございませんが、本県では適切な事業者指導を行うために、市町村に対して必要に応じた対応をするよう周知しております。



3 事業所への指導等について
 

 事業所への指導は、国、都道府県、市町村がそれぞれの立場で実施しており、介護保険法第76条で、都道府県と市町村については、事業所へ報告を求めることや立ち入り検査に関する規定をし、同法第76条の2で勧告、命令等に関する規定をしております。 
 

 実際は、同法に基づく勧告や命令を行う前に行政指導となります実地指導で、内容の確認や不適正な行為の改善等の指導を行っています。
 

 実地指導に関しては、計画的に行う場合と苦情や市町村からの意見を踏まえて行う場合とありますが、県で実地指導を行う場合は原則的に市町村と共同して行っております。
 
 また、市町村は、単独でも実地指導等を行っております。



4 介護報酬について
 

 ご提言の内容から推察すると、提供されているサービスについては、訪問介護事業のうち通院等乗降介助に該当すると思われます。
 
 この場合の報酬については、片道分について、100単位(通常の地区であれば1,000円)と設定されており、保険負担として9割の900円と自己負担として1割の100円となっております。
 
 事業者は、この介護報酬以外に搬送に係る実費について受領することができますので、ご提言内容にある領収金額のうち介護保険分については、算式が異なるものと思われます。
 
 また、このような費用負担についても、サービスの提供方法等については、利用者やその家族に対して理解しやすいように説明を行うという運営基準が適用されます。



5 介護保険制度における苦情解決の仕組みについて
 



 介護保険では、サービス等についての苦情を処理する仕組みが制度的に位置づけられており、次の各主体が連携してサービスの質の向上の観点から対応しております。


(1) サービス事業者・施設
    

 苦情受付窓口の設置等を行い、苦情の内容を記録します。また、市町村・都道府県国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」と略します。)の調査等に協力し、指導・助言を受けた場合には必要な改善を行うとともに、市町村・国保連合会の求めに応じて改善内容を報告します。

(2) 居宅介護支援事業者


利用者・事業者等から事情を聞き、対応を検討します。必要に応じて、利用者に説明し、国保連合会への苦情申立てについての援助を行います。


(3) 市町村


第一次的な窓口として、事業者等に対する調査・指導・助言を行います。


(4) 国保連合会
    

 制度上の苦情処理機関として、苦情申立てに基づき、事業者等に対する調査・指導・助言の権限を持ちます。

(5) 都道府県


事業者等に対する指導権限を持ち、指定基準違反等の場合は、指定取消処分を含めた事業者監督権限を持ちます。


(6) その他


地域密着型サービスについては、上記都道府県の権限が市町村となっております。