愛知FC 木元貴章のブログ

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バルサ化

イニエスタの加入後に掲げられた「バルサ化」の対極に位置する、堅守速攻スタイルが鮮やかにはまった神戸は開幕ダッシュに成功。イニエスタが退団を表明した時点で首位に立っていた。

 サッカーの鉄則として「勝っている間はメンバーを代えない」がある。札幌戦を迎えるまでイニエスタのリーグ戦出場は3試合。すべて後半途中から投入され、プレー時間もわずか38分だった。

 吉田監督は神戸を勝たせる手段として「脱・イニエスタ」を決断し、実際に昨シーズンまでとはまったく異なる結果を残してきた。5月に39歳になったイニエスタもまた、プロとして常に試合に出られる準備を整えながら、ベンチから、あるいはベンチの外から好調な神戸を見つめてきた。

 その間にいつしか、居場所がなくなった神戸に別れを告げ、ピッチの上で最後の輝きを放った上でスパイクを脱ぎたいと思うようになった。イニエスタは退団会見でこんな言葉を残している。

「サッカーを続けていく限り、引退する日がどんどん近づいてくる、というのは誰もが感じること。その中で自分がこのチームを去るべきタイミングを、いろいろな局面で考え始めました」

 だからこそ、札幌戦での先発出場はイニエスタにとっても意外だったはずだ。昨年8月を最後に遠ざかっていたイニエスタの先発起用の意図を問われた吉田監督は、苦笑しながら言葉を濁した。

「それに関しては説明はいらないかな、と。彼に対するリスペクトということです」