さらば定点観測の田んぼ

当ブログではかつて、梅の木の定点観測をやっていた。「定点観測の梅」で検索するか左のリンクをクリックすれば、定点観測記事がずらっと出てくる。旧居で暮らしていた3年前までは当ブログに盛んに書いていたけど、実はこちらに越してきてからも地道に定点観測は続けていた。朝の散歩道沿いにある特定の田んぼを通りかかるたびに、決まった構図の写真を撮り続けていたのである。どんなにぼんやり考え事をしながら歩いていても、その地点に差し掛かれば自動的にスマホを取り出して写真を撮っていた。この土地からも引っ越すことになり、今朝は最後の定点写真を撮った。せっかく撮りためた写真、これまで記事には書いてこなかったけど、最後なのでここで紹介することにする。

1月から12月までの写真が揃っているのは2022年と2023年の2年分。昨年、2023年の分は出張仕事のために肝心な収穫期の写真が欠けていたりしたので、2022年の写真を載せることにする。全部で85枚あった(約4日に1枚の計算)。そこから16枚選んで、ずらっと並べていく。まずは、真冬の1月21日から。冬の定点写真は基本的に同じ眺めでしかないのだけど、それでも一応ここを通れば撮っていた。

2月11日の田んぼはうっすら雪化粧。

4月13日。田植え準備が進んで水が張られ、鏡のようになった田んぼもかなり好きである。

4月21日、とうとう田植えが行われた直後。

5月4日。2週間で苗が少し伸び、爽やかな新緑の田んぼ。

5月29日、ぐんぐん伸びた稲のしっかりとした緑が映える。

6月25日には田んぼがふわふわとした緑のじゅうたんとなり、美しい眺め。この時期の田んぼが一番好き。

7月30日。稲穂が伸びてきて徐々に緑から黄色に変わっていく田んぼ。周辺の田んぼの方が生育が早く、すでに黄色くなっている。

8月10日には稲穂がかなり垂れていて、全体にやや倒れ気味。当地の稲の収穫は早くて、8月中には刈り取られる。

8月16日。上の写真から一週間足らずでこんなに黄色くなった。

8月23日、刈り取り直前の田んぼ。この朝はもやが出ていた。

8月27日。収穫が終わり、定点観測の眺めが一番ドラスティックに変わるとき。

自分も当地では地元産のお米を食べているのだけど、とても美味しい。ここまでで田んぼはおしまいかと思いきや、温暖な当地では「第二の展開」があるのだ。これは、ここに来て定点観測をしてみるまで全然知らなかったこと。

9月8日。まるでもう一度田植えされたかのように緑の列が戻ってきている。刈り取られて根だけ残った稲から再び葉が出ているのである。生命力が凄い。

9月30日には、刈り取り後の稲がぐんぐん伸び、6月のような緑のじゅうたん状態にまでなる。

10月21日、稲穂まで出てきてもう一度収穫できそう。

10月28日、一転してすっかり稲の姿が見えなくなっている。

あんなに伸びていた稲はどこに行ったのかというと、収穫後に伸びた稲は土の中にすき込まれて、来年のための肥料として活用されるようなのである。最初見た年は、この時期に田んぼが焼き払われてしまってちょっとガッカリしたのだけど、その後の2年はこうやって土に戻されている。手間はかかるのかもしれないけど、今後もずっと生命の循環を続けて、美味しいお米を作り続けてほしい。

最後に、今朝の定点写真を載せる。この日常とももうすぐお別れである。当地で暮らした3年間、人間の友達は一人もできなかったのだけど、こうやって毎朝見てきた散歩道の風景や、日々のお祈りやお願いを聞いてもらっていた神社が友達みたいなものだったな、と今朝は思った。

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