水害と引っ越しを経た、白メダカの現在

蓮や睡蓮を育てている鉢でメダカを泳がせていることは当ブログで何度か記事にしてきた。当ブログを始めたばかりの頃は黒メダカがおり、転居後は次第に数が減っていったん中断。一昨年の秋からは5匹の白メダカを迎え、昨年の5月に稚魚がたくさん生まれて喜び(5月31日の記事)、翌月には稚魚がさらに増えて睡蓮の花も開き(6月16日の記事)と、すこぶる順調に推移していたのだけど、当ブログにメダカのことを書いたのはそれが最後。あれから白メダカの親子たちはどうなったのかというと、順調に成長して夏には同居させるところまで行った。真夏の猛暑の中、30匹以上はいたであろう白メダカたちの泳ぐ姿に心癒やされていた。それが、あの忘れもしない9月8日に全部リセットされてしまった。台風に伴う大雨で自宅近くの川があふれて床上浸水の被害に遭ったことは当ブログに書いたとおり。そのとき庭に来た水の高さは蓮鉢を軽く上回り、白メダカたちは狭い鉢から外の世界に放たれたのである。2階に避難していた自分は確かに、白い小さな魚たちが水浸しの庭を泳ぐ様子を見た。あれからメダカたちがどこに行ったのかはわからない。きっとそのまま近所の川にたどり着いて、本来いるべきだった自然の中で今も自由に泳ぎ回っている、ということにしておきたい……

水害当日の庭の様子。自宅の生け垣とお向かいの塀が、てっぺんだけ水面に出ている。

それで自分のメダカ生活は強制終了してしまったのかというと、そんなことはまったくなくて、新居に運んできた蓮鉢では現在も十匹以上の白メダカが元気に泳いでいる。新たに買ったわけではない。実は、9月の水害からそれほど経たないうちに、庭で泥まみれのまま放置していた蓮鉢の中で、たくさんの白い稚魚がまた泳ぎ始めていたのだ。鉢から出て行ってしまったメダカたちが睡蓮の葉に産み付けていた卵が孵化したのだろう。水浸しになった家の中で呆然としたままの家の主をよそに、泥水の汚さなどものともせず、稚魚たちはぐんぐん大きくなっていった。おそらく、生まれても親メダカにすぐ捕食されてしまっていただろう稚魚が、蓮鉢の主が突如消えてしまったことで無事に成長できたのである。親の不在のおかげで子が生き延びるなんてつくづく不思議な世界だけど、これがメダカのリアリティ。

今回の引っ越しの際には、引越業者に家財を運んでもらう10日ほど前に、このメダカ入りの蓮鉢を自分の車で新居に運んでおいた。生きた魚の入った鉢を業者のトラックで運んでもらうことはできず自力で移動する必要があり、引っ越し直前や当日に蓮鉢を車に積んで長距離移動する余裕はなかったので、こうせざるを得なかった。10日間もメダカたちを寒い新居に放置せねばならず、えさもあげられない。どうなるかちょっと心配だったけど、生命力旺盛なメダカのしぶとさを信じた。引っ越し当日、夜遅くに新居に着いてすぐメダカ鉢の様子を見たら、元気にぴんぴん泳いでいて本当に嬉しかった。今日も、春の強風で散り始めた桜の花びらの下で白いメダカたちは元気にやっている。

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